東京地方裁判所 昭和45年(ワ)4454号 決定 1974年9月19日
受継申立人 川原村重
右代理人弁護士 千葉宗八
同 千葉宗武
同 早瀬真
同 青山緑
主文
本件受継申立を却下する。
理由
申立人の受継申立の理由は別紙申立書のとおりである。
よって、受継申立の理由の有無について判断するに、破産債権者が提起した詐害行為取消訴訟が係属中に破産宣告があると、その訴訟手続は破産法八六条一項により、受継又は破産手続解止があるまで中断すること、債権者代位訴訟も同項の類推適用により同様に解されること、また同条二項、同法六九条により、破産管財人が右いずれの訴訟においても受継しうることは明らかである。
そこで、右の場合、詐害行為取消訴訟、または債権者代位訴訟の相手方から受継の申立ができるか否かについて、まず詐害行為取消訴訟について考察すると、破産宣告当時、破産債権者の提起した詐害行為取消訴訟が係属しているという偶然の事由によって、右訴訟の相手方から受継の申立があった場合、破産管財人が破産債権者の承継人として訴訟追行を余儀なくされ、破産債権者の訴訟追行の結果に拘束されるということは不合理であって、破産管財人の否認権の保護ないし破産財団の確保のためには、破産管財人に対し右訴訟の受継を強制することはできず、従って、相手方は受継申立権を有しないと解するのが相当である。そして右の理は債権者代位訴訟についても何ら異なるところはなく、従って、債権者代位訴訟についても破産管財人に対し受継を強制することはできず、従ってまた相手方は受継申立権を有しないと解するのが相当である。
而して、このことは、原告(参加被告)小西甚右衛門及び被告(参加被告)秩父セメント株式会社は参加人に対し、右原告が、参加人と右被告間の本件土地建物についての昭和四四年三月二五日締結の売買契約に基づく、参加人の右被告に対する売買代金残金内金一六七、九八八、二八八円及びこれに対する昭和四四年一〇月二一日から完済まで商法所定の年六分の割合による遅延損害金の各債権を参加人に代って右被告に対し代位行使する権利の存在しないことの確認を求める昭和四五年(ワ)第四四五四号事件についても同様に解すべきである。(その結果、破産管財人より受継の申立のないことは記録上明らかな冒頭掲記の各訴訟事件は、破産手続解止に至るまで中断状態を続けることとなる。)
よって、本件受継の申立は理由がないから却下することとして、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 中島恒 裁判官 平田浩 佐藤修市)
<以下省略>